考えてみると22歳で大学を卒業し、天下のTに入社したと同時に、焦らずつつがなく過ごしておれば取締役も夢ではなく、悪くても部長にはなれる、といった感情が芽生えているようです。
18歳で一流大学に入ったときから適当に勉強しておけば引く手あまたの一流企業から誘いがかかり、後は安泰という構図が出来上がっていたのではないでしょうか。
親たちも、一流大学を出ていなければ将来偉くなれないよという一点張りで、英・数・国・理・社だけを記憶マシーンよろしく過ごしてきたためにこうなったのでしょうか。
このような状況を見ていて、逆に心から希望がわいてきました。
よし、「徹底的に自分を磨こう」と決心したものです。
満足に講義には出られませんでしたが、大学での4年とTの学力検定試験の血のにじむような思いをしたときから、人間一日に少なくとも3時間くらいは、ウンウンうなるくらいの勉強が必要だと感じるようになっていました。
特に、小学校の時の九九の声を覚えるときの記憶力の悪さがいつも頭をもたげてきて、「人の3倍、人の3倍」と私にもう一人の私がささやき掛けているような気がしてなりません。
それにしても本社の課長というと、各支店に出張して支店長や担当の部長にあいさつするわけですが、必ずといってよいほど質問が出るのが「あなたは何年卒ですか」という言葉です。
「はい、高校は昭和28年卒です」、「いや、大学は……」、「大学は昭和42年卒です」、「昭和42年といえば2年前ではないですか」というような対話になってしまいますので、この質問だけは本当にいやになりました。
最後に学力検定試験合格ということが分かり、「あなたでしたか……」というようなことが何度もありました。
スタッフ部門の中で私の課の仕事をしてくれている若い人がいましたが、仕事はできるのですが、どこかのんびりしたところがあります。
ある時たまには飲みに行こうと誘い、多分どこかの商業高校卒くらいの人だろうと思い、質問しました。
「あなたは、どこの学校を卒業しましたか」、答えは「はい、東大の経済学部卒ですが、先輩は?」。
考えて見れば学歴のない男が人の学歴を聞く権利はありませんよね。
管材機器課の商品に屎尿浄化槽がありました。
ポンプのことなら既に全国でも「ポンプのM」で通るくらいになりましたが、浄化槽のことはさっぱり分かりません。
実力の前に資格ありきとばかり、浄化槽維持管理士と浄化槽施工士の資格を取りました。
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